

第93回都市対抗野球大会中国地区二次予選、最終日を迎えました。
たった二つしかない、中国地区代表の座。前日6日にJFE西日本が第一代表の座を射止めました。残すは第二代表。ここを落とすと「今年の夏」は早くも終わりを告げます。


8チーム参加の代表2つ。2敗すれば先がなくなる他の地区に負けないくらいの熾烈な戦い。生き残ったのは、ここ数年進境著しい三菱自動車倉敷オーシャンズと、2018年以来4年連続で第二代表決定戦で敗れている「鬼門」を迎えたJR西日本硬式野球部。












特にJR西日本は、三菱自動車倉敷オーシャンズに対して、実は一昨年の都市対抗野球大会中国地区二次予選から3連敗中。その前はことごとくシティライト岡山に苦しめ続けられただけに、鬼門なのは第二代表決定戦よりもむしろ「岡山県」なのかも知れません。












さらに記せば、この3試合全てでねじ伏せられたのが、現千葉ロッテマリーンズの廣畑敦也投手。こんな書き方は𠮟られるかも知れませんが「天敵」がいなくなった事で、過去の呪縛を解くには絶好の機会かと思われます。と言うか、解かなければいけません。












三菱自動車倉敷オーシャンズは、その廣畑敦也投手が抜けたとは思えない投手陣の充実っぷり。彦坂投手、矢部投手、守屋投手に加え、2年目を迎えた末野雄大投手の大活躍は特筆もの。ぶっちゃけ昨年は、投げている所をほとんど見ませんでしたから。












打線も、一昨年はその貧打がとやかく言われましたが、勝負所で大技小技、しぶとく1点を取りに行く野球は根付いています。そこに、平井選手や渕上選手と言った、底力のある「ベテラン(でもないですが)」が要所を締める。理想的な攻撃が出来ていると思います。



昨年、二大大会に連続出場を決めた勢いはまだ残っているか三菱自動車倉敷オーシャンズ。そして、かつての威光を取り戻すべく挑みかかるJR西日本。火花散る戦いです。
スターティングオーダー
先攻:広島市・JR西日本
1(左)春原直登 (佐久長聖高校~関東学院大学)
2(三)土居拓海 (広島新庄高校)
3(中)大倉卓也 (智辯学園和歌山高校~関西学院大学)
4(一)田村 強 (玉野高校~大阪体育大学)
5(指)西山統麻 (智辯学園和歌山高校)
6(二)櫻井 涼 (広島商業高校~近畿大学工学部~三菱重工広島)
7(遊)石嵜健人 (如水館高校~近畿大学工学部)
8(右)奥野翔琉 (明徳義塾高校)
9(捕)原田廣大 (東大阪大学柏原高校~近畿大学)


















投:石黒佑弥 (星城高校)
後攻:倉敷市・三菱自動車倉敷オーシャンズ
1(二)平山大海 (鹿児島実業高校)
2(遊)猪崎真也 (興譲館高校~履正社医療スポーツ専門学校)
3(三)竹井 陸 (関西高校)
4(一)渕上大地 (球磨工業高校~日本福祉大学~三菱重工広島)
5(左)平井孝治 (尽誠学園高校~筑波大学~三菱自動車岡崎)
6(右)安藤優太 (米子北高校~環太平洋大学)
7(指)宮崎 新 (履正社高校~明治大学)
8(捕)本木駿也 (上尾高校~履正社医療スポーツ専門学校)
9(中)小柳周太 (北九州高校~MSH医療専門学校)


















投:末野雄大 (報徳学園高校~関西国際大学)
審判員




球審:古川裕 一塁:初田 二塁:弘中 三塁:竹内雅
成績
1回表




春原 1―2から4球目を空振り三振




土居 1―2から4球目を空振り三振








大倉 2―1から4球目を打ってショートゴロ
1回裏








平山 0―2から3球目を打ってショートゴロ








猪崎 1―2から5球目を打ってレフトフライ








竹井 2―2から7球目を空振り三振



2回表








田村 2―2から6球目を空振り三振








西山 2―0から3球目を打ってレフトオーバーソロホームラン












倉敷オーシャンズ0―1JR西日本
櫻井 初球を打ってピッチャーゴロ








石嵜 2―2から5球目を打ってキャッチャーファウルフライ
2回裏








渕上 1―2から4球目を打ってピッチャーゴロ
平井 1―0から2球目を打ってセカンドゴロ








安藤 2―2から9球目を打ってレフト前ヒット








宮崎 0―1から2球目を打ってレフト前ヒット








本木 初球を打ってファーストフライ
3回表








奥野 初球デッドボール








原田 1―0から2球目をピッチャー前送りバントセカンド送球もセーフ 記録フィルダースチョイス








春原 1―0から2球目を送りバント失敗キャッチャーファウルフライ




土居 2―2から6球目を打ってピッチャーゴロ




大倉 1―2から5球目を空振り三振



3回裏








小柳 1―2から4球目を打って左中間へスリーベースヒット








平山 0―2から3球目を空振り三振








猪崎 1―1から3球目を打ってサードフライ




竹井 2―2から7球目を打ってセカンドフライ









4回表




田村 1―2から4球目を打って左中間へツーベースヒット




西山 2―2から5球目を空振り三振




櫻井 ストレートのフォアボール




石嵜 フルカウントから6球目を打ってサードゴロ








奥野 2―2から5球目を見逃し三振
4回裏








渕上 2―2から5球目を打ってセンター前ヒット




平井 1―1から3球目を打ってショートゴロ
ファーストランナー渕上はセカンドへ




安藤 2―2から5球目を見逃し三振




宮崎 1―2から5球目を空振り三振



5回表
原田 初球を打ってセカンドフライ




春原 0―2から4球目を打ってサードファウルフライ








土居 2―1から4球目を打ってライトフライ
5回裏








本木 1―1から3球目を打ってライトフライ




小柳 初球を打ってレフト前ヒット








平山 初球を打ってライトフライ








猪崎 初球を打ってライト線ツーベースヒット








竹井 1―1から3球目を打ってライトフライ









6回表
大倉 0―1から2球目を打ってピッチャーゴロ




田村 フルカウントから6球目を選んでフォアボール








西山 2―1から4球目を打ってセンター前ヒット








櫻井 フルカウントから6球目を打ってセカンドフライ








石嵜 初球を打ってセカンドゴロ
6回裏








渕上 1―0から2球目を打ってサードファウルフライ








平井 2―2から5球目を打ってレフトフライ




安藤 初球を打ってショートゴロ






7回表
奥野 初球を打ってレフトフライ
原田 0―1から2球目を打ってライトフライ
春原 初球を打ってセカンドゴロ
7回裏




宮崎 2―2から5球目を空振り三振




本木 0―1から2球目を打ってサードゴロ








小柳 1―2から4球目を空振り三振
8回表




土居 1―1から3球目を打ってピッチャーゴロ








大倉 1―0から2球目を打ってファーストゴロ




田村 2―2から6球目を空振り三振
8回裏
平山 初球を打ってファーストゴロ




猪崎 フルカウントから8球目を打ってショートゴロ




竹井 2―1から4球目を打ってセカンドゴロ
9回表








西山 0―1から2球目を打ってショートゴロ












櫻井 初球を打ってショートゴロ




石嵜 2―1から4球目を打ってピッチャーゴロ
9回裏








渕上 2―2から6球目を打ってレフトオーバーツーベースヒット
三菱自動車倉敷オーシャンズ選手交代


ファーストランナー渕上に代えて福島未来翔(小松高校)
平井 初球をピッチャー前送りバント




安藤 1―1から3球目をピッチャー前スクイズ
倉敷オーシャンズ1―1JR西日本




宮崎の代打高見良太(岡山東商業高校~中部学院大学) 初球を打ってセカンドゴロ
10回表
三菱自動車倉敷オーシャンズ選手交代
代走福島に代えてファースト牛尾涼太(瀬戸内高校~MSH医療専門学校)












奥野 1―1から3球目を打ってファースト内野安打




原田 初球をファースト前送りバント








春原 初球を打ってレフト前ヒット
次打者土居の初球(ストライク)にファーストランナーセカンド盗塁成功







土居 1―2から4球目を打ってセカンドフライ




大倉 2―2から6球目を打ってレフトフライ
10回裏








本木 1―2から4球目を見逃し三振




小柳 0―2から3球目を空振り三振












平山 1―1から3球目を打ってレフト線ツーベースヒット








猪崎 0―2から3球目を空振り三振
11回表








田村 2―1から4球目を打ってセンターオーバーツーベースヒット








西山 1―0から2球目をファースト前送りバント








櫻井 1―1から3球目をピッチャー前スクイズ












倉敷オーシャンズ1―2JR西日本
石嵜 初球を打ってキャッチャーファウルフライ
11回裏
竹井 0―1から2球目を打ってショートゴロ








牛尾 フルカウントから10球目を打ってファーストゴロ
平井 0―2から4球目を打ってレフトフライ




広島市.・JR西日本硬式野球部 4年ぶり5回目の本選出場!おめでとうございます!




11回ツーアウトになった時点で、歓喜の瞬間を収めるべく、石黒投手に向けてカメラを構えてましたが、シャッターを切る余裕もなく、泣き崩れてしまいました。長らく待ち焦がれた瞬間のはずなんですが。それでもいいんです。ここに立ち会えた事が重要なんです。
広島市・JR西日本
010 000 000 01 2 H E
000 000 001 00 1 H E
倉敷市・三菱自動車倉敷オーシャンズ
試合開始11:25 試合終了14:16

息詰まる投手戦、と申しますが、この試合は息が詰まるどころか「鬼気迫る投手戦」になりました。JR西日本先発の石黒投手は155球、倉敷オーシャンズ先発の末野投手は147球のまさしく「熱投」。新・エース同士の一歩も譲らないピッチングには頭が下がります。
今シーズンに入って間なしの頃です。どこかで「廣畑二世、いますよ」と伺った覚えがあるんですが、もそれは末野投手だったんではないでしょうかね。違ったなら申し訳ないですが、実際、去年一年間で、、投げているのを見たのは、オープン戦で一度だけ。投げない分、鍛えに鍛えて、今シーズンになって大輪の花が咲いた、と言ったところでしょうか。


それにしても三菱自動車倉敷オーシャンズ、本当に強い、どころか怖いチームです。足で引っ掻き回せる平山選手が不動の一番打者、今シーズンから加わった猪崎選手にも脚があります。守備日範囲も広いです。内外野ディフェンスも固いです。クリーンアップを任せられる尾堂選手も加わりました。いざとなれば、硬軟どんな形でも点が取れそうです。


そこに、平井選手、渕上選手、矢部投手と言った歴戦の勇士、生え抜きの彦坂投手、守屋投手。彦坂投手などは一時、ピッチングフォームに「トルネード」を加えたりして、色々と試行錯誤されていたようですが、昨年度の中国地区ベストナインを獲得した事、日本野球連盟の投手成績にも名前が載った事で、大きな自信を身に付けられたと思います。


それ以上に個人的には、渕上大地選手を思い切り推したいです。球磨工業高校時代はあと一歩甲子園大会に届かず。日本福祉大学から進んだ三菱重工広島でも、なかなかレギュラーの座を掴めず。試合前のシートノックでは、内野の全ポジションを回る事もしばしば。そして、一旦は引退が発表されたものの、倉敷オーシャンズに移籍。


この前の試合、対シティライト岡山戦では、チーム唯一の得点になるソロホームラン。そしてこの試合では、土壇場9回裏の先頭バッターで、ホームランかと思わせるツーベースヒット。勝負強さ、と言うものが未だによく分かりませんが、、ある種「火事場のナントカ」に似たものを、渕上選手に感じます。いい選手を通り越して「怖い選手」です。


昨年の都市対抗野球大会では、念願悲願の「大会初ヒット」。そして今シーズンからは、平井選手に代わって主将就任。昨年はとかく「ふち神様」と言う「いじられキャラ」でしたが、苦労してきた経験と人柄が、主将就任につながったんだと思います。32歳にはなられましたが、まだまだこれからいくらでも、花を咲かせられると思います。
そして三菱自動車倉敷オーシャンズ。今大会は残念ながら、代表権獲得とはなりませんでしたが、今年後半そして来年以降も、岡山県のみならず、中国地区をリードする存在になると思っています。今後の活躍、健闘を祈らずにはおれません。
長くなってしまいましたが、JR西日本硬式野球部に関しては、この後の「後編」にて。
2022.06.09 / Top↑
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