社会人野球の選手の退部また勇退は、会社登録チームであればチーム公式サイトで、また同時に選手個人のSNS、地元新聞の記事等で発表される事もありますが、それがクラブチームレベルともなると、余程の事がない限り、あまり知られる事もないままユニフォームを脱がれる選手が多いです。
この辺り、大々的に各新聞記事になるプロ野球はじめプロスポーツとは違うところかと思います。ただ最近は、アマチュアスポーツの選手・チームでも、ツイッターなりフェイスブック、各種SNSで情報発信をしてる事が多いので、上記の例はあまり当てはまらなくなっているようにも思います。


そして、とある晴れた日、マツゲン箕島硬式野球部のある選手から直々に「今年であがります!(つまりはチームを離れる事)」と聞きました。直接伺ったのは初めてだったので衝撃ではありました。


マツゲン箕島では、4番の岸翔太選手の引退が新聞等で発表されていますが、他にも何名か、ユニフォームを脱がれる事を各方面より伺いました。そして、チームで用意された引退試合は、毎年この時期に行われているチーム内でのささやかなる「イベント」。諸般の事情で予定がなくなってしまった「有給休暇」の12月第一週の土曜日。特急「くろしお(パンダ仕様)」に乗って出掛けてきました。



おはようございます毎度お馴染みマツゲン有田球場。時間によっては箕島駅からデマンドバスもあるんですが、乗ったことありません。もっとも、タクシーに乗っても1200円前後で済みますが。



12:40。数名の選手が出て来られて、丁寧に均されたグラウンドにまずはライン引き。ちなみにマツゲン有田球場は、和歌山県下随一の水捌けのよさを誇るとか。




選手の皆さんは一斉に集合するわけではなく、いかにも三々五々集う、と言った感じ。この辺り選手の皆さんは店舗の「最前線」におられるがゆえ、勤務内容の都合もあったりするんでしょうね。









13:08、練習開始。まずはライトからセンター間をウォーキング。引き続き同じ所をランニング。






続いて左中間付近を利用して各種ストレッチなどなど。












そしてベンチ前でキャッチボール。この辺は通常の試合前とほぼ同じ流れでしょうかね。




















13:40よりフィールディング練習。マツゲン箕島硬式野球部の引退試合では「通常は立たないポジションに就く事」がお決まりになっているので、ぶっちゃけ皆さん恐る恐る、と言った感じ。
















タイガース糸原健人、カープ菊地涼介の真似をしたりもあり。多少のポロリもむしろご愛敬。それよりも何よりも、皆さん「それなりに」こなしておられる。やっぱり凄いなぁ、とも思います。
スターティングオーダー
先攻:引退選手チーム ※太字が今年で引退される方です
1(捕)山根幹久 (投手/岡山共生高校~MSH医療専門学校)
2(二)岸 翔太 (一塁手/京都明徳高校~大阪ガス)
3(投)中原良照 (内野手/三重高校~日本福祉大学)
4(三)矢野雅章 (外野手/北嵯峨高校~花園大学)
5(一)北面成也 (投手/市立和歌山高校~関西国際大学)
6(左)小川大樹 (内野手/佐久長聖高校~関メディベースボール学院)
7(遊)原井一也 (コーチ/箕島高校~松下電器~西武ライオンズ~千葉ロッテマリーンズ)
8(中)西口稔基 (OB/上宮高校~福知山公立大学)
9(右)中筋 航 (内野手/和歌山北高校)








ピッチャーの中原選手。
後攻:現役選手チーム
1(捕)渡部純史 (捕手/県立和歌山高校)
2(一)黒岩拓馬 (外野手/飯塚高校~徳山大学)
3(二)小邨義和 (外野手/上宮高校~佛教大学)
4(三)古川益大 (外野手/滋賀学園高校~関西外国語大学)
5(遊)夏見宏希 (外野手/日高高校中津分校~関西国際大学)
6(左)小窪教照 (内野手/市立和歌山高校~大阪体育大学)
7(中)冨樫和秀 (内野手/酒田南高校~福知山公立大学)
8(右)池島主税 (内野手/香川西高校~関西国際大学)
9(指)山口 輝 (内野手/紀央館高校~徳山大学)








投:玉木献人 (内野手/鳥取城北高校)
審判員



球審:水田信一郎(捕手兼任コーチ/東洋大学付属姫路高校~神戸学院大学)
前述の通りほぼ皆さん「普段は立たないポジション」に就かれてます。以下、何とかかんとかまとめましたが、途中「俺も打ちたい」てな感じで続々と代打出場、ポジション交代も多数ありましたが、大幅に省略しています。と言うかそんな試合を実況すな、て話。
さらに、バッティングには金属バットを使用しているので、各プレイその他もろもろにもふんだんに「ネタ的要素」が散りばめられています。あらかじめご了承の上ご覧いただければと思います。また記録は「個人的主観」によります。これまたご了承願います。
成績
1回表




山根 0-1から2球目を打ってセカンドゴロ




岸(なぜか右打席) 0-1から2球目を打って左中間へツーベースヒット




中原 初球を打ってレフトへタイムリーツーベースヒット
現役チーム0-1引退チーム
矢野 1-0から2球目を打ってレフト前ヒット




北面 フルカウントから6球目を打って右中間へタイムリーツーベースヒット
現役チーム0-2引退チーム




小川 初球を打ってレフトへ犠牲フライ
現役チーム0-3引退チーム




原井 1-2から5球目を打ってライト前タイムリーヒット
現役チーム0-4引退チーム
次打者西口の初球にファーストランナー原井セカンド盗塁、さらにキャッチャーの悪送球でサードへ




西口 1-1から3球目を打ってサードゴロ
1回裏







渡部 1-1から3球目を打ってサード後方ヒット




黒岩 2-1から4球目を打ってセカンド内野安打



※ファーストの際どい判定に「リクエスト」を要求する岸選手。当然通らず。
次打者小邨の初球(ボール)にファーストランナー黒岩セカンド盗塁成功




小邨 1-0から2球目を打ってセンターオーバータイムリースリーベースヒット
現役チーム2-4引退チーム




古川 フルカウントから6球目を選んでフォアボール




夏見 フルカウントから球目を打ってレフトへ犠牲フライ
現役チーム3-4引退チーム



次打者小窪の3球目(ボール)にファーストランナー古川セカンド盗塁失敗




小窪 2-2から5球目を打ってセンターフライ
2回表
中筋 2-2から5球目を空振り三振








山根 1-0から2球目を打ってレフトオーバーソロホームラン












現役チーム3-5引退チーム




岸 0-2から3球目を空振り三振




中原 0-1から2球目を打ってショートゴロ(の前の空振り)
2回裏



この回から、引退チームに入っていた原井コーチ、西武ライオンズのユニフォームで登場。



初めてのキャッチャーで、セカンドどころかセンター前へ(いろんな意味を含めての)クリーンヒットを連発した山根投手。




冨樫 1-0から2球目を打ってレフト前ヒット
※画像は三塁線の打球をキャッチ出来なかった、途中からサードに入った北面投手




池島 1-0から2球目を打ってセカンドフライ




山口 0-1から2球目を打ってライトへタイムリーツーベースヒット
現役チーム4-5引退チーム








渡部の代打和田拓也(初芝立命館高校~京都学園大学) 初球を打ってサードファウルフライ




黒岩 初球を打ってショートゴロ原井コーチタイムリー捕球エラーを、笑ってごまかす原井コーチ
現役チーム5-5引退チーム
夏見 1-2から4球目を打ってセンターオーバータイムリースリーベースヒット
現役チーム7-5引退チーム
バッターランナー夏見はホームタッチアウト
3回表




矢野 0-2から3球目を打ってライトフライ




北面 1-2から4球目を空振り三振




小川 2-2から8球目を空振り三振(の前のファウル)
3回裏



この回より、原井コーチがファーストへ




代打松尾大輝(投手/鳥羽高校) 0-1から2球目を打ってピッチャーゴロ
代打竹中諒(投手/紀央館高校) 初球を打ってレフトへツーベースヒット
代打藤本勇希(投手/作陽高校~京都学園大学) 3-1から5球目を打ってショートライナー












セカンドランナー竹中 かくし球でタッチアウト!を「してやったり」の表情でベンチに戻るセカンド岸選手。いっぺんやってみた方んだろうなぁ、などとも思ったり。
4回表




この回から現役選手チーム、冨樫選手がマウンドへ




原井 2-0から3球目を打ってショートゴロエラー



出塁後、ファーストベース上からブロックサインを出す原井コーチ




西口 2-1から4球目を打ってレフト前ヒット




中筋 0-2から3球目を打ってライト前ヒット
しかしファーストランナー西口セカンドタッチアウト








山根 0-1から2球目を打ってレフトオーバースリーランホームラン









この一発を見た現役チームのとある選手「山根はピッチャーちゃうな」。

現役チーム7-8引退チーム








岸 2-0から3球目を打ってライトフライ




中原 1-2から5球目を打ってレフトオーバーソロホームラン








現役チーム7-9引退チーム




矢野 1-0から2球目を打ってセンター前ヒット




北面 2-1から4球目を打ってショートゴロ
4回裏
代打梅原隆斗(投手/山梨学院大学付属高校~山梨学院大学) 0-1から2球目を打ってショートフライ




田中 1-0から2球目を打ってセンターフライ
冨樫 3-0から4球目を打ってレフト前ヒット



池島 0-1から2球目を打ってキャッチャーファウルフライ(を好捕する山根「捕手」)
5回表



冨樫投手「しんどなったら誰か交代して」と言いつつマウンドへ








小川 初球を打ってセンター前ヒット




原井 初球を打ってショートゴロダブルプレイ



西口 2-0から3球目を打ってレフトフライを、よろよろしながらキャッチする、先の回からレフトに回っている田中投手。



やれやれの表情を見せてマウンドを降りる冨樫投手。
5回裏








この回より引退チーム、セカンドを守っていた岸選手がマウンドへ。












山口 1-2から4球目を見逃し三振




和田 1-2から4球目を打ってショートゴロ送球エラーでセカンドへ



立ち位置を変えての「4番対エース」の勝負はエースの勝ち




夏見 初球を打ってライト前ヒット ファーストランナー和田はサードへ
渡部 1-2から4球目を見逃し三振
次打者黒岩の2球目(ボール)にサードランナー和田ホームスチール成功
現役チーム8-9引退チーム



まさに「グイグイ押しまくる」岸投手。




黒岩 2-2から5球目を空振り三振






岸選手、思い切り「野手投げ」ながらも、途中Max141km/hを記録。


6回表








この回より現役チームは黒岩選手がマウンドへ。
中筋 2-1から4球目を打ってライト前ヒット






明らかに「三打席連続」を狙っている(?)山根投手。








山根 1-0から2球目を打ってライト前ヒット ファーストランナー中筋はサードへ








岸 1-1から3球目を打ってライト前タイムリーヒット
現役チーム8-10引退チーム




中原 初球を打ってレフト前タイムリーヒット
現役チーム8-11引退チーム




次打者矢野の初球(ボール)にセカンドランナー岸サード盗塁成功
矢野 1-0から2球目を打ってセンター前タイムリーヒット
現役チーム8-12引退チーム



ファーストランナー中原は三本間でタッチアウト
北面 2-1から4球目を打ってピッチャーゴロ








小川 2-1から4球目を打ってライトフライ
6回裏






ショートを守っていた原井コーチ、千葉ロッテマリーンズのユニフォームでマウンドへ。以下省略。
7回表








この回から現役チームは池島選手がマウンドへ。




原井 1-1から3球目を打ってセンター前ヒット(の瞬間ではないんですが、これが一番かっこよく撮れたもので・・・)








山根 初球を打ってレフトへツーベースヒット(4安打目)




岸 0-2から6球目を打ってセンターへ犠牲フライ



現役チーム8-13引退チーム






この打席で岸選手、1球目2球目(空振り)は左打席、3球目(ファウル)は右打席、4球目5球目(ファウル)は左打席、と言う通常の試合ではありえない荒業、と言うか天才ぶりを披露。




中原 0-1から2球目を打ってサードフライ



次打者矢野の初球にワイルドピッチでサードランナー山根這いつくばってホームイン
現役チーム8-14引退チーム



矢野 2-1から4球目を打って左中間へツーベースヒット
北面 0-1から2球目を打ってサードゴロ
7回裏






最終回、岸選手は「本職」のファーストへ、山根投手はセカンドへ。
夏見 初球を打ってレフトへソロホームラン
現役チーム9-14引退チーム
山口 2-0から3球目を打ってセンターオーバースリーベースヒット




冨樫 2-1から4球目を打ってショートゴロ
黒岩 初球を打ってレフト前タイムリーヒット
現役チーム10-14引退チーム




池島 0-2から5球目を打ってセカンドゴロダブルプレイ












マツゲン箕島硬式野球部、悲願の都市対抗野球大会初優勝おめでとうございます!(違)
引退チーム
410 403 2 14
340 010 2 10
現役チーム



試合終了!




監督賞は当然、5打席4安打4打点の大活躍を見せた山根投手!


整列して、何を唄うかと思えば「島唄」。




三塁側応援スタンドへ挨拶に向かうナイン。喜び爆発(違)

引退試合、無事終わりました。在籍の長かった選手、短かった選手、そしてユニフォームを脱ぐ理由は様々あると思いますが、ただただ皆さん「お疲れさまでした」としか言いようがありません。








チームスケジュールを見るに、本当に社業優先。朝早く起きて、日によっては夕方からの練習。大変だったと思います。実際、選手の皆さんは、松源各店舗の「最前線」に立たれています。そんな中でハイレベルな野球を求められる。ゆえに勝った時の喜びもひとしおだったんではないでしょうか。






今後は皆さんどうされるんでしょうね。とある選手は故郷に帰られるとか。社業に専念だったり、和歌山を離れたり、今後の進路はさまざまとは思いますが、今後のご多幸を祈らずにはおれません。

そしてマツゲン箕島硬式野球部。すでに近畿地区だけにとどまらず、全国にその名前が知られるようになった最強のクラブチーム。今年の社会人野球日本選手権では「超強豪」トヨタ自動車硬式野球部と、がっぷり四つの試合を演じました。もうクラブチームの域は完全に逸脱していると思います。


そして、和歌山県下唯一の日本野球連盟登録チーム。ゆえに、有田市代表以上に「和歌山県代表」だとも考えてます。とある選手の「移籍」で観るようになったマツゲン箕島硬式野球部。これも何かの縁でしょう。来年もまたどこかで、試合を観る事が出来ればこれ幸いと考えております。

ありがとうございました。
2019.12.09 / Top↑
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