



11月12日。第44回社会人野球日本選手権最終日。優勝決定戦を迎えました。


昨年の覇者・トヨタ自動車が一回戦で姿を消したり、都市対抗野球大会優勝の大阪ガスが二回戦で敗退したり、第三試合が日付を跨いだりと、今年もあれやこれやと話題が多かった大会になりましたが、優勝決定戦は、今年の都市対抗野球大会出場を逃したチーム同士の顔合わせとなりました。


まずは一塁側・JFE西日本。












橋本選手や浦選手と言ったベテラン選手に、今年加入した中川投手らが見事に融合。特にピッチャー陣は、補強選手で二年連続都市対抗野球大会を経験し、今大会2試合連続完封の河野竜生投手を中心に、まさに「奮投」。チーム防御率0.50と言う数字を残して、最終決戦に勝ち上がってきました。












勝てば、2004年の第31回大会以来、13大会ぶり2度目の社会人野球日本選手権制覇となります。実感としては「そんなに少なかったのか」てな感じ、ではありますが。昨年から今年夏にかけて、残念ながら全国大会には全く縁がなかっただけに、応援スタンドの熱気も尋常ではありません。


そして三塁側・三菱重工名古屋。












一回戦はカナフレックス、二回戦はJR東日本東北、準々決勝はHonda鈴鹿、そして準決勝は東芝を降しての優勝決定戦進出となりました。あまりよく知らないので言及は控えさせて頂きます。












――――――が、2018年現在「三菱重工」で残っている広島や神戸・高砂が、過去に社会人日本選手権や都市対抗野球大会で優勝経験があるものの、名古屋はいずれも準優勝が最高成績(直近は2007年の第34回大会)。この壁を、平成最後の区切りの大会で打ち破る事が出来るかどうか。
スターティングオーダー
先攻:三菱重工名古屋
1(三)馬場強司 (東邦高校~専修大学)
2(遊)秋利雄佑 (スカジットバレー短期大学~カリフォルニア州立大学)
3(一)吉田承太 (築陽学園高校~関東学院大学)
4(指)西田尚貴 (東大阪大学付属柏原高校~関西大学)
5(右)山田敬介 (春日丘高校~東北福祉大学)
6(捕)安田亮太 (PL学園高校~明治大学)
7(左)小柳卓也 (春日部共栄高校~日本体育大学)
8(二)三森大輔 (愛知工業大学付属名電高校~関東学院大学)
9(中)小木曽亮 (中京大学付属中京高校~國學院大学)








投:西納敦史 (大聖寺高校~富山大学)
後攻:JFE西日本
1(左)小串寛徳 (東福岡高校~近畿大学工学部)
2(遊)岡 将吾 (西日本短期大学付属高校~駒澤大学)
3(三)古田 塁 (天理高校~東洋大学)
4(指)橋本拓也 (岡山理科大学付属高校~関西学院大学)
5(中)藤本知輝 (慶應義塾高校~慶應義塾大学)
6(一)脇屋直征 (明豊高校~立命館大学)
7(右)三木大知 (倉敷工業高校~岡山商科大学)
8(捕)浦翔太郎 (明徳義塾高校~拓殖大学)
9(二)宮本夏輝 (広陵高校~MSH医療専門学校)








投:河野竜生 (鳴門工業高校)
審判員




球審:土井淳宏 一塁:西本和博 二塁:宅間寛 三塁:加来和彦
打撃成績
1回表




馬場 0-1から2球目を打ってファーストゴロ




秋利 初球を打ってショートゴロ




吉田承 フルカウントから8球目を空振り三振
1回裏




小串 1-1から3球目を打ってセンターフライ







岡 1-0から2球目を打ってライトへ先制ホームラン
JFE西日本1―0三菱重工名古屋




古田 フルカウントから6球目を打ってサードゴロ




橋本 2-2から6球目を打ってショート内野安打




藤本 1-2から4球目を空振り三振
2回表




西田 0-2から3球目を空振り三振




山田敬 初球を打ってセンターフライ




安田 1-2から4球目を空振り三振




2回裏




脇屋 フルカウントから6球目を打ってセンターフライ




三木 0-1から2球目を打ってショートゴロ
浦 0-1から2球目を打ってセンターフライ
3回表




小柳 初球を打ってセンター前ヒット




三森 0-1から2球目をサード前送りバント




小木曽 1-1から3球目を打ってサードファウルフライ




馬場 フルカウントから8球目を選んでフォアボール




秋利 フルカウントから6球目を打ってセンター前タイムリーヒット




JFE西日本1―1三菱重工名古屋




吉田承 初球を打ってレフトフライ




3回裏








宮本 初球を打ってサードゴロ




小串 2-1から4球目を打ってキャッチャーファウルフライ




岡 フルカウントから6球目を打ってレフトフライ
4回表








西田 2-2から7球目を打ってサードファウルフライ








山田敬 0-1から2球目を打ってキャッチャーファウルフライ




安田 1-2から6球目を打ってピッチャーゴロ








4回裏




古田 1-2から4球目を打ってセンターフライ








橋本 1-1から3球目を打ってセカンドフライ




藤本 フルカウントから6球目を選んでフォアボール




脇屋 1-1から3球目を打ってセカンドゴロエラー(トンネル)




ファーストランナー藤本はサードへ




三木 1-0から2球目を打ってサードゴロ
5回表




小柳 フルカウントから8球目を見逃し三振




三森 フルカウントから8球目を打ってレフト前ヒット




小木曽 初球を打ってファーストゴロダブルプレイ




5回裏








浦 2-2から5球目を打ってセカンドゴロ




宮本 1-1から3球目を打って右中間へヒット




小串 2-1から4球目を打ってサードゴロ ファーストランナー宮本はセカンドへ




岡 1-0から2球目がデッドボール




古田 初球を打ってレフト前ヒット




橋本 初球を打ってショートフライ
6回表




馬場 1-1から3球目を打ってレフトフライ




秋利 初球を打ってレフトフライ




吉田承 2-2から5球目を打ってライトフライ




6回裏








藤本 1-1から3球目がデッドボール




脇屋 1-1から3球目をキャッチャー前送りバント失敗セカンドフォースアウト




三木 3-1から5球目を打ってライトフライ




次打者浦の4球目(ボール)にファーストランナー脇屋セカンド盗塁成功




浦 フルカウントから6球目を打ってライト前ヒット
三菱重工名古屋選手交代








ピッチャー西納に代えて服部拳児(横浜商科大学付属高校~日本体育大学)




宮本の代打本郷貴彦(広陵高校~近畿大学工学部) 1-2から4球目を見逃し三振


7回表
JFE西日本選手交代
代打本郷に代えてセカンド斉藤輝(横浜商科大学付属高校~国学院大学)




西田 1-0から2球目を打ってセカンドフライ








山田敬 2-2から11球目を打ってショートゴロ




安田 フルカウントから8球目を打ってファーストゴロ




7回裏




小串 1-1から3球目を打ってショートフライ




岡 2-0から3球目を打ってライトフライ




古田 1-1から3球目を打ってセンター前ヒット




橋本 フルカウントから7球目を選んでフォアボール








藤本 0-2から3球目がデッドボール




脇屋 1-2から4球目を空振り三振
8回表




小柳 フルカウントから8球目を打ってライトフライ




三森 2-2から5球目を打ってキャッチャーファウルフライ




小木曽 初球を打ってサードゴロ
8回裏




三木 初球を打ってセンター前ヒット




浦 2-1から4球目をファースト前送りバント
三菱重工名古屋選手交代








ピッチャー服部に代えて勝野昌慶(土岐商業高校)








斉藤 1-0から2球目を打ってセンター前ヒット








小串 2-1から4球目を打ってピッチャー横内野安打




代走に友滝健弘(盈進高校~駒澤大学)




岡 フルカウントから6球目を空振り三振








古田 1-0から2球目を打ってライトフライ








決死のダイビングキャッチを「魅せた」山田敬介選手を出迎える三菱重工名古屋ベンチ
9回表
JFE西日本シート変更
代走友滝がそのまま入りセンター
センター藤本がレフトへ




馬場の代打伊藤隆比古(中京大学付属中京高校~立命館大学) フルカウントから6球目を選んでフォアボール
代走に波多野優(天理高校~天理大学)




秋利 1-2から4球目を打ってセカンドゴロセカンドフォースアウト




吉田承 1-2から4球目を空振り三振 しかしファーストランナー秋利セカンド盗塁成功




西田 2-0から3球目を打ってレフト前ヒット
代走に脇山渉(愛知工業大学付属名電高校~創価大学)








山田敬 2-2から6球目を打ってサードゴロ
9回裏
三菱重工名古屋シート変更
波多野がそのまま入りサード








橋本 初球を打ってサードファウルフライ




藤本 1-2から4球目を空振り三振




脇屋 フルカウントから6球目を選んでフォアボール




三木 1-2から5球目を打ってショートゴロ
10回表
JFE西日本選手交代








ピッチャー河野に代えて谷中文哉(盈進高校~駒澤大学)




安田 初球を打ってサード内野安打




小柳 1-0から2球目をキャッチャー前送りバント




三森 フルカウントから6球目を打ってセカンドゴロ




小木曽の代打山田晃典(金沢高校~専修大学) 2-2から5球目を見逃し三振




ここまで3試合27イニング1失点の力投を魅せた河野投手。疲れきっているはずなのに、それでも一番にベンチを飛び出して、リリーフの谷中投手を出迎える
10回裏
三菱重工名古屋選手交代とーシート変更
代打山田晃に代えてサード山川一樹(専修大学松戸高校~獨協大学)
サード波多野がライトへ
ライト山田敬がセンター




浦 1-1から3球目を打ってサードゴロ




斉藤 初球を打ってレフトフライ




友滝 1-2から4球目を打ってセカンドゴロ
11回表




波多野 0-1から2球目を打ってファーストファウルフライ




秋利 2-2から5球目を見逃し三振




吉田承 3-1から5球目を選んでフォアボール




脇山 0-1から2球目を打ってショートゴロ




11回裏
三菱重工名古屋選手交代
ピッチャー勝野に代えて萩原大起(常葉大学菊川高校~愛知学院大学)




岡 フルカウントから6球目を打ってレフトフライ




古田 2-1から4球目を打ってショートゴロ




橋本 2-2から6球目を空振り三振
12回表




山田敬 2-1から4球目を打ってセンター前ヒット




安田 1-0から2球目をファースト前送りバント




小柳 申告敬遠




三森 2-1から4球目を打ってライトフライ




セカンドランナー山田敬はサードへ




JFE西日本選手交代








ピッチャー谷中に代えて中川一斗(玉野光南高校~天理大学)




山川 2-1から4球目を打ってピッチャーゴロ




12回裏




藤本 2-1から4球目を打ってセカンドゴロ




脇屋 0-1から2球目を打ってレフトフライ




三木 初球を打ってセンターフライ
13回表




波多野 1-2から4球目を打ってライト前ヒット




秋利 1-0から2球目を打ってショートゴロ




吉田承 フルカウントから7球目を打ってセカンドフライ




脇山 1-1から3球目を打ってライト前ヒット




山田敬 1-1から3球目を打ってサードゴロセカンド送球もセーフサードランナーホームイン


JFE西日本1―2三菱重工名古屋




JFE西日本選手交代








ピッチャー中川に代えて小林寛(江の川高校~大阪学院大学~横浜DeNAイスターズ)




安田 2-2から5球目を打ってファーストフライ
13回裏




浦の代打高田涼太(浦和学院高校~立教大学) 2-2から5球目を空振り三振




斉藤 1-0から2球目を打って左中間へセンターフライ




友滝の代打綿屋樹(鹿児島実業高校) フルカウントから6球目を選んでフォアボール




代走に中山康太(広島商業高校~MSH医療専門学校)




岡 2-2から5球目を打ってセンターフライ・・・
そして・・・










三菱重工名古屋、社会人野球日本選手権悲願の初優勝!おめでとうございます!



勝利の「ヒップアタック」を失敗したのはここだけの話にしておきます。







三菱重工名古屋
001 000 000 000 1 2
100 000 000 000 0 1
JFE西日本

激戦区の東海地区。その中でもみくちゃにされてきた三菱重工名古屋。1953年の創部以来65年目、悲願念願だった二大大会、初の頂点に立ちました。熾烈な戦いの続いた今大会を象徴するような、延長13回4時間15分の熱闘。今日も火を吐く好ゲーム、とはこの事じゃないですかね。




そしてやはり、試合の流れをJFE西日本に渡さなかった外野のビッグプレイ2つ。特に8回裏の古田選手のフライをダイビングキャッチしたライト山田敬介選手。勝てる勝てない以前に「あぁ、これはこのままもつれるわ」と思いましたし、両チームの選手の気魄をひしひしと感じました。


そして、惜しくも敗れたJFE西日本。応援席からの期待度は尋常ではありませんでしたし、その期待に応えるだけの試合内容だったと思います。若い選手が我もワレもと前に出て、それをベテラン選手が後ろから支える。そんな姿が垣間見えました。岡選手の先制ホームランなんかがそんな印象。


大きくチームを改革して1年目、「最高」とはいきませんでしたが、都市対抗野球大会とは違い、単独チームで、予想以上に大きな結果と、来年に向けてのかけがえのない財産が出来たと思います。そして、この結果が言わば「最低限」になるやも知れません。それだけチームの周囲は「喧しい」です。しかしながら本当に選手の皆さん、強くなりました。胸を張って福山に帰って頂ければ。
表彰式




賞状と「ダイヤモンド旗」の授与


準優勝杯の授与
ここから先は、佐伯達夫杯などなど続きますが省略します。

最高殊勲選手賞:勝野昌慶投手(三菱重工名古屋)
なんと、表彰を撮り損ねると言う大失態・・・・。



敢闘賞:河野竜生投手(JFE西日本)
試合結果が逆なら当然。、最高殊勲選手賞のはず。それどころか、今回は優勝チームから出さなくてもええんとちゃうのん?とすら思うような、27イニング1失点の快投。誰にでも簡単に叩き出せる数字ではないと思います。優勝決定戦だけでしたが本当に素晴らしい、そして堂々たるピッチングを見せてもらいました。本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした。



首位打者賞:小柳卓也外野手(三菱重工名古屋)
4試合17打席14打数6安打 打率0.429



打撃賞:三木大知内野手(JFE西日本)



特別賞:大和高田クラブ
理由は「全日本クラブ野球選手権大会優勝枠で出場しての初勝利(注:2007年・2009年は近畿地区予選を勝ち抜いての出場)、大和高田市民と一体となった応援」とありました。一回戦の対JR四国戦。三塁側から見る「やーやどー!」は、それはそれは凄まじいものを感じました。それこそ「圧力」を覚えました。都市対抗野球大会本選を見ても感じるんですが、社会人野球の応援って、プロ野球と違って、自チームへの応援だけじゃない。明らかに相手チームへの、スタジアムの空気すら揺るがす「音圧」だと思うんですよ。応援席がやる事が出来る最大の「試合への参加」だと思います。
応援団コンクールのない日本選手権ですが、これはもう特別賞ではなく「応援団コンクールぶっちぎりの優勝」じゃないですかね。来年、どこかで「やーやどー!」に参加する機会があったら、是非ともやってみたいと思います。但し、スティックバルーンは、視界が遮られるので膨らませません、が。
い



無事、大会は終了しました。閉会の挨拶にもありましたが、今大会は昨年を上回る、17万9500の観衆を集めたそうです。その内訳がどのようなものかはもちろん分かりませんが、着実に増えてきているのも事実です。都市対抗野球大会とは違い、企業が前面に押し出されてる事もあり、一般への認知度はまだまだ低いですが、着実に上向き加減。いいことじゃないですかね。



そして試合後のインタビューに於いて、三菱重工名古屋・安田亮太主将がJFE西日本の関係者の皆様、選手の皆様、野球人として今日この場ですごく良い試合ができたことを心から感謝します。来年以降も切磋琢磨して、社会人野球を盛り上げていきましょう」と言われました。


ドラフト会議の時期と前後する事もあり、ともすれば「プロ野球予備軍」的な見方をされる方も多かろうとは思いますが、大多数の選手は、社会人野球に、プロとは違う何らかの魅力を感じて、現役を続けられています。こんな選手の「熱」がもっともっと広がって欲しい、とも考えてます。

来年は都市対抗野球大会は第90回、社会人野球日本選手権は45回目を迎えます。この45の差は永遠に追い越すことも出来なければ縮まることもありません。ただ、熱っぽさは近付ける事は出来るはずです。大会のインターネット配信も始まりました。各チーム、SNSなどを駆使して情報発信もしています。企業スポーツ、の前に「野球」と言うジャンルでもっと定着して欲しい、とも考えてます。


そして、日本野球連盟主催の大きな大会は全て幕を閉じました。また来年、東京ドームで、そして京セラドーム大阪で、また地方のいろんな球場で、熱い戦いが繰り広げられる事を楽しみにしています。
2018.11.13 / Top↑
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