

第43回社会人野球日本選手権。優勝決定戦を迎えました。


肌寒い、とまでは行きませんでしたが、スキッと晴れない天気でした。そう言えば何年か前は、開場前に雷雨になって、やむを得ず4番ゲートの内側で開場を待った覚えもあります。


で、今大会の優勝予想、いろいろあったかとは思います。正直な話、どのチームも優勝を目指して戦っているんだから、一回戦からすべての対戦が「優勝戦進出決定戦」みたいなもの。もちろん、予想はあくまで予想。トーナメントなんだからどこで何が起こるかわかりません。


二回戦の日本生命対大阪ガスみたいに、都市対抗野球大会優勝決定戦の再現みたいな試合もありました。延長16回と言うとんでもない試合もありました。史上初の「完全試合」もありました。

全試合を観た訳じゃないんでアレコレは控えますが、そして毎年の事ではありますが、熱の籠った試合の多い大会だったと思います。プロ野球日本シリーズが終われば「野球オフ」と思われる向きもありますが、明治神宮野球大会もあり、11月になっても野球熱は冷めません。とは言うものの、明治神宮大会は観戦は予定してません。学生野球にまで行くと体が持ちませぬゆえ。




そんな10日間の熱闘を締め括る優勝決定戦に進出したのは、近畿地区第一代表の日本生命、東京スポニチ大会優勝で、早々に今大会出場を決めたトヨタ自動車。ガッチガチの顔合わせになりました。






日本生命が優勝すれば2大会ぶり4度目。一昨年の大会の優勝決定戦は、福富裕外野手の劇的なサヨナラヒットで優勝を飾ったのは記憶に新しい、と言うかおそらく忘れることはないでしょう。






整った施設になった、貝塚市の「日本生命スタジアム」。そこのバックスクリーンにダイヤモンド旗(もちろん時期的にはちょっとだけでしょうけど)を翻すことができるか。






トヨタ自動車が優勝すれば3大会ぶり5度目の優勝になります。2014年の優勝決定戦は、主戦・佐竹功年投手が4安打7奪三振の快投で優勝。そして佐竹投手は最優秀選手賞にも選ばれました。






でもって、トヨタ自動車の日本選手権優勝は、全て佐竹投手が入部して以降に記録されたもの。「サタケ自動車」とも言われますが、それだけ絶対的な存在。しかしながらそんなチームが、簡単に都市対抗野球大会などに出場出来ない。そんな所に東海地区の「奥の深さ」を感じます。
スターティングオーダー
先攻:トヨタ自動車
1(左)望月直也 (盛岡大学付属高校)
2(中)辰巳智大 (郡山高校~慶應義塾大学)
3(遊)藤岡裕大 (岡山理科大学附属高等学校~亜細亜大学)
4(一)樺澤 健 (前橋商業高校~東京農業大学)
5(指)西潟栄樹 (成立学園高校~桐蔭横浜大学)
6(二)河合完治 (中京大学附属中京高校~法政大学)
7(右)多木裕史 (坂出高校~法政大学)
8(捕)細山田武史(鹿児島城西高校~早稲田大学)
9(三)北村祥治 (星稜高校~亜細亜大学)








投:小出智彦 (愛知啓成高校~近畿大学)
後攻:日本生命
1(中)神里和毅 (慶應義塾高校~慶應義塾大学
2(左)福富 裕 (慶應義塾高校~慶應義塾大学)
3(二)原田拓実 (天理高校~立正大学)
4(指)皆川 仁 (学校法人石川高校~立正大学)
5(一)廣本拓也 (浪速高校~法政大学)
6(遊)山本真也 (光星学院高校~中部学院大学)
6(右)上西主起 (県立和歌山商業高校~中部学院大学)
8(捕)古川昌平 (大阪産業大学付属高校~愛知学院大学)
9(三)河野勇磨 (延岡工業高校~福岡工業大学)








投:本田洋平 (愛知高校~愛知学院大学)
審判員




球審:古川泰史 一塁:浜田敏秀 二塁:三宅章介 三塁:善積重文
※このうち、球審の古川さん、一塁塁審浜田さん、そして三塁塁審の善積さんは、今大会この試合を最後に引退されるそうです。面識はないですが、お疲れ様でした。


優勝決定戦恒例の始球式は、女子プロ野球・埼玉アストライアの加藤優投手。女性とは言え「プロ野球選手」なので、あんまり始球式感がなかったのも確かです。
打撃成績
1回表




望月 2-2から5球目を打ってショートゴロ




辰巳 2-2から5球目を見逃し三振




藤岡 フルカウントから6球目を選んでフォアボール




樺澤 1-2から4球目を打ってファーストゴロ
1回裏




神里 2-2から6球目を打ってピッチャーゴロ




福富 1-2から4球目を打ってセンターフライ




原田 1-2から4球目を空振り三振
2回表








西潟 初球を打って右中間突破スリーベースヒット




河合 1-2から5球目を空振り三振


ここで一旦、十河監督を交えての「三者面談」。




多木 ストレートのフォアボール








細山田 2-2から6球目を空振り三振 サードランナー西潟三本間でタッチアウト




ノーアウト3塁の大ピンチを切り抜け、歓喜する日本生命ベンチ。
2回裏








皆川 1-2から4球目を空振り三振








廣本 1-0から2球目を打ってセカンドゴロ




山本 フルカウントから7球目を打ってライトフライ
3回表




北村 1-1から3球目を打ってセカンドゴロ








望月 1-2から6球目を打ってセカンドゴロ




辰巳 0-1から2球目を打ってサードゴロ




回の最後を締めた河野内野手を出迎える日本生命ベンチ。そしてそのまま廣本主将を中心に円陣。
3回裏








上西 1-1から3球目を打ってレフト前ヒット




次打者古川の4球目(空振り)にファーストランナー上西セカンド盗塁失敗




古川 2-2から5球目を打ってピッチャー強襲内野安打








河野 2-2から5球目を空振り三振 ファーストランナー古川セカンド盗塁失敗




キャッチャーがラストバッターもしくはランナーだと準備が大変でごさいます。レガース、プロテクターの装着は手すきの選手で一斉に。その間当の本人は目薬さしたり。社会人野球の公式戦その他に、無駄な時間は一切許されません。プロ野球でも見習ってみてはどうでしょう。
4回表




藤岡 初球を打ってセカンドライナー








樺澤 フルカウントから9球目を打ってセカンドゴロ




西潟 3-1か5ら球目を選んでフォアボール




河合 1-1から5球目を打ってショートゴロ




どれだけ些細な、他愛のないごく当たり前のプレイでイニングが終わっても、ベンチ総出で出迎える。これが社会人野球、しいてはアマチュア野球の良さ、かも知れません。そして円陣を組んで攻撃イニングへ。
4回裏




神里 初球を打ってセンター前ヒット




次打者福富の2球目にファーストランナー神里セカンド盗塁失敗








福富 1-1から3球目を打ってレフト前ヒット




原田 1-0から2球目を打ってファーストゴロダブルプレイ
5回表




多木 フルカウントから6球目を打ってレフト前ヒット
細山田 1-0から2球目をピッチャー前送りバント




北村 0-1から2球目を打ってセカンドフライ
望月 1-2から5球目を打ってライトフライ
5回裏




皆川 1-2から4球目を打ってピッチャーゴロ




廣本 1-1から3球目を打ってライト前ヒット




山本 2-2から5球目を打ってセンターフライ




上西 ストレートのフォアボール




トヨタ自動車選手交代








ピッチャー小出に代えて竹内大助(中京大学附属中京高校~慶應義塾大学)




古川 1-0から2球目を打ってセカンドゴロ


6回裏突入直前、守備につく選手だけで円陣を組む。
6回表




辰巳 初球を打ってピッチャー強襲内野安打




藤岡 0-1から2球目をピッチャー前送りバント




樺澤 フルカウントから10球目を選んでフォアボール




西潟 2-2から5球目を空振り三振




日本生命選手交代








ピッチャー本田に代えて高橋拓巳(前橋育英高校~愛知学院大学)




河合 2-2から6球目を打ってレフトオーバータイムリーツーベースヒット






日本生命0-2トヨタ




多木 0-1から2球目を打ってセンターフライ




逆転されようがまだまだこれから!本当はこの辺の画像、全部載せたいんですが、それをやってしまうととんでもない事になってしまうので控えてます。がんばれ紅組!
6回裏
トヨタ自動車選手交代








ピッチャー竹内に代えて諏訪洸(下妻第二高校~亜細亜大学)
河野 1-2から4球目を空振り三振




神里 1-2から4球目を空振り三振
福富 2-2から5球目を見逃し三振
7回表
細山田 1-0から2球目を打ってレフト前ヒット
北村 初球をキャッチャー前送りバント




望月 初球を打ってファーストフライ




辰巳 1-1から3球目を打ってライトフライ
7回裏




原田 フルカウントから8球目を打ってファーストゴロ




皆川 初球を打ってセカンドゴロ




廣本 0-2から3球目を見逃し三振
8回表
日本生命選手交代








ピッチャー高橋拓に代えて藤井貴之(天理高校~同志社大学)




藤岡 フルカウントから6球目を空振り三振




樺澤 2-2から7球目を空振り三振




西潟 2-2から5球目を見逃し三振
8回裏




山本 2-2から6球目を打ってショートゴロ




上西 1-2から5球目を打ってセンターフライ








古川の代打中井竜基(光星学院高校~中部学院大学) 2-2から5球目を打ってショート内野安打




河野の代打高橋英嗣(九州産業大学付属九州高校~東海大学) 1-0から2球目を打ってレフトフライ
9回表
日本生命選手交代
代打中井に代えてサード宇高幸治 (今治西高校~早稲田大学)
代打高橋英に代えてキャッチャー椎名亮介(調子商業高校~立正大学)
河合 初球を打ってピッチャーへの内野安打




多木 初球をサード前送りバント
次打者細山田の初球(ボール)にワイルドピッチ
細山田 3-0から4球目がデッドボール




北村 2-2から7球目がデッドボール




望月の代打瀧野 初球を打ってライト前タイムリーヒット
代走に小河諒(桐蔭学園高校~中央大学)


日本生命0-3トヨタ








日本生命選手交代








ピッチャー藤井に代えて阿部翔太酒田南高校~成美大学)
前日の準決勝で先発した阿部投手。登板に関してはいろいろ論議があると思いますが、個人的には、登板の疲れ云々よりも、これが最後の戦い。勝敗はどうあれ、これが終わればとにかく休める、と言うのもあったんじゃないか、とも思います。それだけ「執念の継投」ではなかったかと。




辰巳 初球を打ってレフトライナー




藤岡 2-2から7球目を打ってファーストゴロ




9回裏
トヨタ自動車選手交代
代走小河に代えてレフト小島宏輝(愛知工業大学名電高校~早稲田大学)








神里 1-0から2球目を打ってライトフライ落球 神里はセカンドへ




福富 2-2から8球目を打ってレフト前ヒット




レフト前に落ちるか落ないか微妙な打球だったので、落ちるのを見てから神里はサードへ。




原田 1-0から2球目を打ってセンターへ犠牲フライ
日本生命1-3トヨタ




皆川 1-1から3球目を打ってセンターフライ
トヨタ自動車選手交代








ピッチャー諏訪に代えて佐竹功年(土庄高校~早稲田大学)




廣本 初球を打ってショートゴロ






トヨタ自動車野球部、3大会ぶり5度目の優勝!おめでとうございます!




やはり、どこのチームであれ、どんな試合であれ「歓喜の瞬間」と言うのは良いものです。
トヨタ自動車
000 002 001 3
000 000 001 1
日本生命


試合が終わった後、まずは勝利監督インタビュー(画像ありません)。そして、佐竹功年主将のインタビュー。「小出、諏訪の若いピッチャーが要所要所をしっかり抑えて、河合がここと言うところで一本打ってくれたので、頼みしい若手だなぁ、と。(自身の登板に関しては)美味しいところ持って行っていいのかな。最後のワンアウトを取るのが野球は難しいので、気持ちだけ込めて」。


続いてヒーローインタビューは、決勝タイムリーヒットのトヨタ自動車・河合完治選手。開口一番「最高で――――――――す!」。そして、トヨタ自動車の会社、野球部のファンへの方の感謝の言葉、そして先輩後輩への感謝の言葉が並びました。「もっと愛されて、もっと強いチームにしていきたい」。


その裏で粛々と閉会式の準備。運び込まれるダイヤモンド旗。




インタビュ0も終わり、18:15。閉会式開始。まずはマスコットのお嬢さんを先頭に整列。


まずはトヨタ自動車・桑原大輔監督に賞状授与。

そして、佐竹功年主将にダイヤモンド旗授与。




多木裕史選手に佐伯達夫杯、辰已智大選手に大阪市長杯、坂田篤彦選手に、来年の日本選手権までユニフォームに付ける事の出来るエンブレムの授与、細山田武史選手にチャンピオンフラッグ。


準優勝トロフィーを受ける日本生命・廣本拓也主将。


トヨタ自動車、日本生命両チームへの「大阪シティドーム賞」の授与。


さらには、両チームへのメダルの授与。


最高殊勲選手賞は、トヨタ自動車・多木裕史選手!


敢闘賞は日本生命・高橋拓巳投手!


首位打者賞はトヨタ自動車・多木裕史選手! 19打席16打数7安打。


打撃賞はトヨタ自動車・西潟栄樹選手!


特別賞は、大会史上初の完全試合達成のJR東日本東北・西村祐太投手!もうこれに異論を唱える人はおらんでしょう。


左は大会実行委員長・北前雅人氏の「閉会の挨拶」。右はJABA日本野球連盟・市野紀生氏の「シーズン終了のお礼」。そして今年は昨年を7500人上回る16万4500人の入場者数とか。ドラフト会議の後、と言う事もあるのか年々増えてるように思います。ただ、どんな形であれ、日本選手権、さらには社会人野球に関心を持つ人が、もっともっと増えてくれれば、とも思います。
そして大会最終日・閉会式の何が楽しみって、日本野球連盟・市野紀生会長のナマの声が聴ける事。もちろん下書きを繰り返して、あらかじめ用意された文章ではありますが、こうやって組織のトップにいる人の「声」がけ聴ける機会ってのはそうないように思います。そして、今大会の締めの言葉は「また来年、野球場でお会いしましょう」。






表彰式が終わったあとは、まずは胴上げ。とは言うものの、どっちかと言えばこれは報道向け。しかしながらマスコットガールのお嬢さんまでも胴上げって。しかしながらそのマスコットガールも妙に胴上げされ慣れてるってのも、強豪チームらしいと言えばらしい、のかなぁ。




で、あとはそれぞれグラウンドに散って、思い思いに記念撮影。

そして、私の2017年の「野球観戦」はひと区切りしました。おかげさまで社会人野球でも「ここのチームは出来る限り追いかけたい」と言うチームも、えっかはどうあれ無事全国大会に出場をしました。

また来年も、ここ京セラドーム大阪で、社会人野球日本選手権決勝戦で、一年をを締めくくれたら、と。考えております。特にJR西日本野球部の皆さん、三菱重工広島野球部の選手の皆さん、JR四国野球部の皆さん、ありがとうございました。これまでにない良い一年を過ごさせてもらいました。


当分京セラドーム大阪周辺は、コンサートこそあれど、野球で賑わうのはオリックスバファローズのファンフェスタくらい。私は当分来ることはありません。また来年のオープン戦でお会いしましょう。
2017.11.16 / Top↑
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