昨日のカープ。さすがに大きく打線をいじってきた。ペナントレースが開幕して対戦が一巡りして、チーム打率が0.230。セントラルリーグどころか12球団11番目(まだ下があることに驚き)。

ピッチャーが前評判通りの活躍をして、強力クリーンアップがその通りの活躍はしてくれているけど、そこからのプラスアルファが一向に見えてこない。どころか一発頼みの打線になってた。

さすがにこの状態では長続きせんと思ったんだろうし、花冷えのナイトゲーム、扇風機フル回転では点は入らない。ましてや相手は「黒幕暗躍」中日ドラゴンズ。一時は嵌りそうになったドツボから抜け出し、4連勝で勝率5割に戻して広島に「詰めかけて」きた。

案の定、点差をつけたにもかかわらず、追いつかれてしまった。やっぱり怖いドラゴンズ。試合の流れは持って行かれかけた。しかし、そこからイニング間のインターバルを挟んでのたった4分間で、今シーズン初の1番打者に座ったショートストップの2つのプレイが、あっさり空気を変えた。


5回表ツーアウト3塁からの「4分間」、木村昇吾の独壇場。

エクトル・ルナの打球を、三遊間一番深い所で止めて立ち上がりざまの大遠投。決してエクトル・ルナも脚力はないわけじゃない。その前の打席では盗塁も決めている。昨年も4つ成功失敗なし。そんなエクトル・ルナを「止めた」。抜けておればサードランナー荒木雅博が歩いて帰ってきたはず。


イニングインターバルを挟んで5回裏。

木村昇吾はものすごいスリーベースヒットを放った。走る姿を見てると、セカンドベースで止まる気なんかさらっさらない走り方。ファーストを回ったあたりから「絶対にサードへ」と思ってたんだろう。

スローで見るとギリギリのタイミング。いいボールがサードへ返って来てたらアウトだったろうし、それこそ「暴走」と言われかねなかった激走。それでも木村昇吾は走りたかったんだと思う。

思えば、エクトル・ルナをアウトにして戻ってくる時も、誰よりも速かった。それこそ風を切り走っていた。たぶんこれらの姿は、木村昇吾が思い描く理想の1番打者の姿だったんじゃなかろうか。

もちろん常々そう考えているわけじゃないだろうとは思いますが「自分はグラウンドにいる間、現役でいる間はこうありたい」と言う姿勢は垣間見えた。そしてその一挙手一投足は、よく1番打者に使われる「核弾頭」ではなく「先鋒」と言う言葉の方が相応しい、とすら思った。

「先鋒」の意味をネット辞書で調べてみた。
1 戦闘の際、部隊の先頭に立って進むもの。さきて。「―隊」
2 運動・主張などの先頭に立つもの。「革新派の―となる」「急―」
3 剣道や柔道などの団体戦で、最初に戦う人。→次鋒 →中堅 →副将 →大将

野球の場合はやはりどうしても1になってしまうとは思いますが。


私が長らく(と言っても11年)やってた剣道。男子団体戦では「先鋒・次鋒・中堅・副将・大将」と並べる(女子団体戦では「先鋒・中堅・大将」となることも)。名前からして「大将」が一番強そうではあるけども、実際はそうでない事も多々ある。副将だったり、中堅だったり。

私が中学校の頃の、ひとつ上の先輩達で団体戦を戦う時は先鋒に主将を持ってきてた。主将の基準は部活によって違うかも知れんけど、うちの中学校の剣道部は実力主義だったので、一番強い先輩が主将だった。尤も、強いだけでなく人望もあった先輩ではあったんですが。

先生の考えの真相は今も分からんし、知りようもないけど、今思い返せば「景気づけ」の意味もあったのかも知れない。5対5の個人戦だから3勝で試合は終わる(一応最後まで試合はしますが)。野球の先制点と同じで、先に一人、勝っておけば「開幕ダッシュ」ではないけども、後々が楽になる。

ちなみに「次鋒」は、どこの学校でも小柄の曲者が多かったように覚えています。そう考えると、すっかり定着した菊池涼介は立派な「次鋒」じゃないでしょうかね。

そしてその先鋒の役割を、昨日の木村昇吾は十分果たしてたと思う。走攻守全てに於いて充実してた。彼も試合に出たいんだよ。その為に、毎日ウォーミングアップして、練習してバットを振ってノックを受けて、いつでもどこでも声がかかるように準備出来ている。勿論それがプロなんですが。

野村謙二郎監督は試合終了後「木村の活躍が非常に大きかった。張り切ってやってくれてありがたい。スリーベースはそのままホームに帰って来ると思った。守備でもナイスプレイだった。(テレビ新広島のレポートそのまんま)」と言うコメントを残している。

けど、これを鵜呑みに出来ないのがこの監督さんの悪いところでもある。これまでもそうだった。

実際気候も打線も花冷え状態だったから、梵英心の膝への負担を考えてのショート起用だったんだろうし、キラ・カアイフエをクリーンアップから外したがゆえの得点力不足を補うための丸佳浩3番、空いた1番打者を埋めてみた「だけ」なのかも知れない。

その「だけ」かも知れない野村謙二郎監督のほんの出来心、僅かな機会のために日々練習に取り組んでいる選手は木村昇吾だけではない。いくらでもいる。もっといろんな選手を使うために頭を使えばいい。徹底的に頭を痛めればいいんですよ。今まで何をやってたんだ、と言う話にもなりますけどね。

一軍監督が頭を使うところは本来はここだ。一軍で打てない選手へのマンツーマン指導が監督の仕事じゃない。そんな事は担当コーチがやればいいだけのこと。監督は「監督すること」が仕事。


サードベース上で立ち上がった後の、渾身のガッツポーズ。あれはもしかしたら、野村謙二郎監督に向けてやったものかも知れない、とすら思ってしまう。考え過ぎでしょうけどね。


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2014.04.12 / Top↑
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