昨年夏、何の気なしに見つけた、JR広島駅前再開発地区にある「被爆ポンプ」。一部が広島平和記念資料館に移設されさらには6基のうち3基の「保存」が決定しました。



「被爆ポンプ」保存へ、被爆2世が守る 朝日新聞

多くの人が行き交う広島駅前に6台の手押しポンプがひっそりと残っていた。赤くさびたその外見から「被爆ポンプ」と呼ぶ人も。このうち3台が20日夜、駅前再開発工事のため、平和記念資料館などに移された。廃棄の危機を救ったのは、1人の被爆2世だった。

被爆2世の永原富明さん(67)=呉市阿賀南8丁目=がポンプのことを知ったのは2005年。広島市南区にある赤茶けたポンプを見て、「被爆しているかもしれない」と思ったという。

一昨年、近所に住む高橋勇さん(86)がポンプについて語ってくれた。高橋さんは1945年当時、広島電鉄に勤務し、駅前にあったバスの待合室の2階で被爆した。爆風で崩れた建物からはいだすと、皮膚がただれた人たちが、近くのポンプに「水をくれ」とすがりついていたという。その話を聞いた永原さんは「やっぱり被爆ポンプだった」と確信したという。

高橋さんのほかにも駅前近くに住む2人が「戦前から駅前にポンプがあった」と証言してくれたが、写真などポンプの存在を裏付ける資料は見つからなかった。6台のポンプは道路を挟んで3台ずつ並んでいた。このうち南区松原町の3台は再開発が進む広島駅南口Bブロック地区沿いにあった。

「工事が進むと鉄くずになってしまうのでは」と心配になった永原さんは昨年5月、ブリキ板に「被爆ポンプです 残して下さい」と書き、ポンプにぶら下げた。由来を知っている人や所有者を探して周辺の店を訪ね、8月6日が近づくと折り鶴をぶらさげた。

平和記念公園でボランティアガイドをしている永原さんは同月、資料館のガイド向けのニュースレターにポンプのことを書いた。それを読んだ同館の担当者から連絡があり、永原さんは保存を訴えた。

同館は「確証はないが、被爆の可能性がある」として、このうち1台を資料館で保存する方針を決めた。今年6月に開催予定の「新着資料展」で展示する予定という。また、残り2本は南区が保管することになった。

昨年9月下旬に資料館から保存の方針を伝えられ、病気で入院していた高橋さんに保存が決まったことを報告すると、喜んでくれた。高橋さんは1月3日に亡くなった。20日、撤去される直前にポンプの前を訪れ、線香を供えた。「このポンプで多くの人が助かったかもしれない。よく頑張ってくれた」と手を合わせた。



DSC_0923.jpg DSC_0928.jpg DSC_0929.jpg
昨年夏に撮影した「広島駅南口Bブロック市街地再開発事業用地(と言って良いのかどうなのか)」沿いにある、3基の「被爆ポンプ」です。この時既に「被爆ポンプです。残してください」のメッセージと、永原さんの署名、そしてささやかながら千羽鶴が添えられています。

3基のうち1基は平和記念資料館、残り2基は南区が保存、とありますが、1基は保存してくれる方を公募しているとか。何にしろ3基とも残される事になったのは良い事と考えます。出来る事ならば、現状維持で、が一番いいんじゃないかとも考えたんですが、流石にそうもいかなかったようです。

ポンプ、転じて井戸と言うものは、そこに生活する人々の心の拠り所でもあり、生活の拠点みたいなもの。いわゆる「軍」が残した戦争の爪痕も大事かも知れませんが、保存すべきは当時の人々の生活の痕跡、ではないかと考えます。戦争と言う「冷たい歴史」を残すのもいいですが、生活と言う人の暖かみを感じさせるものを残すのもまた歴史の礎人あるんじゃないか、と考えています。

「温故知新」と言う言葉がありますが、第二次世界大戦、そして世界初の原子爆弾投下。忘れていい記憶、また忘れてはいけない記憶様々あると思いますが、忘れてはいけないのは、そこに住み続けた人々の歴史、そしてそれを語り継ぐ為の「遺産」。まだまだヒロシマにはあると思います。

このポンプもそれこそ、息絶えてかなりなると思います。いつから水が出なくなったのかは分かりませんが、21世紀の現在まで残った、残されたのも何かの因果かも知れません。

20年ほど前には広島駅前には大きな歩道橋がありましたが、「広島駅ビルASSE」「エールエール(A館)」が出来る前になくなってしまいました。それを「第一次」とするならば、この「Bブロック再開発」が終了(エールエールB館が出来るとか)するのは「第二次」とも言えると思います。

数年後には愛友市場を含むCブロックにも、新しいビルが建設されます。「75年経っても草木すら生えない」とまで言われた広島の街、そして広島駅前は、75年経過を前にして、ビルディングがどんどん生えるようにまで発展しました。奇跡、とは言いませんが、これが「ヒトノチカラ」だと思います。

その「ヒトノチカラ」を見続けたであろうポンプ。末永く保存されることを祈ります。


以下、どれでもクリックして頂ければ是幸い。これからの励みになります。
にほんブログ村 野球ブログ 広島東洋カープへ にほんブログ村 地域生活(街) 中国地方ブログへ
2014.01.27 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://kugyousou.net/tb.php/2017-6df3e4fd