10月3日 第24回戦 広島東洋カープ3-5中日ドラゴンズ


よく彼のことを「天才打者」と言う人がいる。どの程度のレベルに行けば「天才」と呼んでいいのか素人には分からないど素人からすれば、150km/h近いスピードであんな小さい球を投げられるだけでも凄い事だし、それをバットで弾き返すことだけでも凄い。ましてやそれを100mも飛ばすんだから。

そんな野球選手がさらに「天才」と呼ぶんだから、どれだけすごいもんか、などとは思うけど、私が「宗旨替え」した1996年、既に彼は「天才」ではなくなってた、とすら思う。

アキレス腱断裂後のインタビューでは「自分がどこまで成長できるか、と考えると、毎日が楽しかった。」と言ってた。やってみろと言われた事が何でも出来るようになることが、楽しくて仕方なかったんだろう。今、自らこう断言できる選手がどれくらいおるだろう。

このアキレス腱断裂で「前田智徳は死にました」と言う迷言を残したけど、ここから前田智徳自身が「続・前田智徳」を生成しにかかったんかな、とも思います。天才とかそんなんではなく、ただただ、「前田智徳」を目標としたいち野球選手としての挑戦が始まったのかな。

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(2007年4月30日態タイガース戦の6回裏、江草仁貴からスリーランホームランを放ってファーストベースを回る前田智徳。)

頻繁に広島市民球場に足を運ぶようになってからの前田智徳の定位置はたいがいがレフトだった。

相方の希望もあった。ギリギリの状態だった。ウエスタンリーグについて同じような事を言ったら以前戦友に怒られたけど「前田智徳の、これが最後かも知れん」と思ったら気が気ではなかった。

前田智徳が引退記者会見で「5年前から毎年毎年オーナーに時間を取ってもらって」と言う話をしてたけど、一度死んで蘇った前田智徳は、もしかしたら2008年、旧広島市民球場の終了と共に、前田智徳も終わってたのかもしれない。本人も「引き際はとっくに過ぎてた」とも言ってたし。

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(2008年9月28日、旧広島市民球場での前田智徳の打席。)

もうこの頃は、守備に就いてても痛々しいだけだった。

相手の攻撃中とかそんなのはお構いなしにストレッチ。事ある毎に尻やら太ももをモゾモゾ。脚にびっしり巻かれてたであろうテーピングが気になったんだろうな。とにかく忙しなかった。

それでも、レフトに打球が飛んできたら、はじき出されるようにダッシュ。野球選手としての本能であり、その一瞬の為のテーピングであり、試合前後の念入りなマッサージだったんだろうな。


それでも前田智徳は、一年間の「由宇給休暇」を経て帰ってきた。

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(2012年3月10日オープン戦、対スワローズ戦にて。)

前田智徳の言い回しから考えるとそれこそ「死に体」かも知れない。それでも前田智徳をそこまで動かしたものは一体何なんだろう。チーム最年長と言う責任感なのか、それとも別の何かかな。

前にも書いたけど、昨年あたりから、どっちかと言えば一歩引いたような「若い選手が云々」みたいなコメントが目を引いた。それだけ動けなくなってたんだろうし、その反面、若い選手が力をつけて来てることを実感してたのは、誰あろう、前田智徳だったのかも知れないな。

そして今年。

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(今年の3月5日、オープン戦対ホークス戦)

皆の輪の中に入りつつも、あくまでもマイペースでストレッチをする前田智徳がいた。こんな言い方も無いかも知れんけど、いつ終わるか分からない体。少しでも皆と一緒にいたいという思いはあったんだろう。それが、引退挨拶の「カープは16年ぶりにAクラスに入ることができました。(中略)自分がこの中にいないのは、さみしいです」にも繋がったのかな、などと。

まだ3月初旬。のベテラン選手ならマイペース調整を任されていい時期。それでも彼は、翌週の福山市民球場でのオープン戦にも帯同。実際はどうか分からんけどそれだけ体調が良かったのか。

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(今年の3月5日、オープン戦対ホークス戦)

けど、続かなんだな。アレがどうと言う気はないけど、さすがにボルトが7本も埋め込まれた左尺骨骨折はなかなか治らないかな。治ったとしても「完治」には程遠いだろうな。それこそ、思い通りのバットコントロールはもう無理だと判断したのか。

5年間、よく耐えてくれたと思います。もうテーピングは使わんでいいんです。来シーズンは評論家と言う事だそうですが、たまにはグラウンドに降りて、若い選手に「的確なアドバイス」をお願いします。



24年間、いつも暖かい声援をいただき、ありがとうございました。故障だらけの野球人生でしたが、球団オーナーをはじめ、監督さん、スタッフのみなさん、裏方のみなさん、皆さんに手助けしていただいて、そして励ましていただき、そして支えられながら、ここまで乗り切ってくることができました。

この広島で、そして広島東洋カープで、一途に野球ができたことを誇りに思います。そしてどんなときも支えてくれた両親と家族に、本当にありがとうと言いたいです。そしてどんなときも支えてくれた両親と家族に、本当にありがとうと言いたいです。

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カープは16年ぶりにAクラスに入ることができました。

監督さんをはじめ、コーチの方、裏方さんが力を合わせて、若い選手を、そしてベテランをうまく指導して、ここまで来れたと思います。自分がこの中にいないというのは、非常に悔しいですが、この節目を、これから強いカープとなって、未来のカープが明るいことを願って、今日をもって引退します。

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そして高木監督をはじめドラゴンズの皆さん、きょうはありがとうございました。ドラゴンズの来年の巻き返しと、チームのドラゴンズらしい野球を期待しています。

最後にもう一度、きょうまで応援してくれたファンの皆さん、そしてきょうまで支えてくれたすべての方に感謝いたします。長い間、本当にありがとうございました。



もう、アイスクリーム食べ放題なんでしょうか。


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2013.10.03 / Top↑
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