さて、いよいよ決勝戦を迎えた第52回JABA広島大会、であります。

顔合わせは昨年同様、広島東洋カープ対三菱重工広島

8月7日にも、プロ・アマ交流試合と言う形で対戦。その時は5対2でカープが何とか勝鯉してますが、昨年のこの大会の決勝戦では、9回表に1点差に詰め寄られ、カープが薄氷の勝鯉を収めています。対戦成績は、調べがついた分だけですが、カープの8試合6勝2敗となっております。

しかし、三菱重工広島硬式野球部は、今シーズンから、カープやタイガースで選手コーチ経験のある町田公二郎氏を「ヘッドコーチ」に迎え、さらなる向上を目指しています。いずれのチームでも、コーチとしては成果が残せませんでしたが、その失敗を社会人野球チームでどう生かす事が出来るか。

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JABAの大会ではよくある事ではありますが、これで1日3試合。決勝戦に進んだら2試合闘わなければいけないこの苛酷さ。しかも今年の夏は特に暑く、この日の広島の最高気温も36度ど、例年になく暑い、やる方も見る方も大変な大会になりました。

先攻:三菱重工広島
1(指)松永弘樹(早稲田大学)
2(中)実政太一(如水館高校)
3(捕)國本剛志(近畿大学)
4(右)松原匡志(同志社大学)
5(左)井口晴樹(愛知工業大学)
6(一)戎至誠(神戸学院大学)
7(遊)田中友博(愛知学院大学)
8(二)馬澤優也(神村学学園高等部)
9(三)渕上大地(日本福祉大学)
投手:野上祐司(沖データコンピュータ学院)

ほとんど休む間もなく第三試合に臨む三菱重工広島ナイン。試合開始は当初予定時刻の14:40からもう少し延ばされ、14:55にはなりましたが、疲労度はどの程度のもんなんでしょうか。

後攻:広島東洋カープ
1(三)鈴木誠也(二松学舎大付属高)
2(遊)上本崇司(明治大学)
3(中)迎祐一郎(伊万里商業高校)
4(一)栗原健太(日大山形高校)
5(指)會澤翼(水戸短大付属高)
6(右)土生翔平(早稲田大学)
7(左)鈴木将光(遊学館高校)
8(二)庄司隼人(常葉橘高校)
9(捕)上村和裕(北照高校)
投手:武内久士(法政大学)

先日、とうとうウエスタンリーグの規定打席に到達した栗原健太がそれこそ「満を持して」登場。その他のメンバーも大幅入れ替え。

打撃成績
1回表
松永     2‐2から6球目を打ってセカンドフライ
実政     2‐2から5球目を空振り三振
國本     0‐2から3球目を打ってセカンドゴロ

1回裏
鈴木誠    2‐1から4球目を打ってショートゴロ
上本     初球を打ってレフトフライ
迎      ストレートのフォアボール
栗原     0‐1から2球目を打ってセカンドフライ

2回表
松原     1‐2から4球目を打ってライトオーバーツーベースヒット
井口     1‐0から2球目を打ってセンターフライ

カープ選手交代
センター迎→レフト中村憲(京都すばる高校)
レフト鈴木将→センター

戎      1‐0から2球目を打ってライトフェンス直撃タイムリーツーベースヒット
広島東洋0‐1三菱広島
田中     0‐2から3球目を打ってショートゴロ
馬澤     初球を打ってショートライナー

カープベンチで何があったのか、戎至誠選手の打席の途中で、突如としてセンターの迎祐一郎が交代。ストレートのフォアボールを選んだ事がいかんかったのか、はたまた他の理由なのか詳細不明。

イニングの先頭打者なら未だしも、イニング途中の打者の途中、ってのも不可解。敢えて言うなら、センターフライをキャッチした後の内野への返球がやや緩慢に見えたくらい、でしょうか。

もっとも「くらい」と言えども、相手は広島社会人野球チームでも屈指の強豪、三菱重工広島。どのチームでもそうですが「隙あらば」と何を仕掛けてくるか分からない。気を抜いたプレイは御法度。

2回裏
會澤     2‐1から4球目を打ってファーストフライ
土生     2‐1から4球目を打ってセカンドゴロ
鈴木将    フルカウントから8球目を打ってレフト前ヒット
庄司     初球を打ってレフトフライ

3回表
カープ選手交代
ピッチャー武内→小野淳平(日本文理大学)

渕上     1‐1から3球目を打ってセカンドゴロ
松永     2‐1から4球目を打ってセカンドライナー
実政     初球を打ってライト前ヒット
國本     初球を打ってセカンドゴロ

これもかなり突然だった、カープ先発ピッチャーの武内久士の交代。球審が三菱重工広島ベンチにも「少し時間を取ります」と言うことで、了承を得に行ってましたので、武内久士に何らかのアクシデントがあったものと思われます。怪我だとしても長引かなければいいんですが。

3回裏
上村     0‐1から2球目を打って左中間スタンドへ今大会12号ソロホームラン
広島東洋1‐1三菱広島
鈴木誠    2‐2から5球目を打ってショート内野安打
上本     0‐1から2球目をサード前送りバント
中村憲    初球を打ってレフトフライ

上村和裕君のホームラン。嬉しかったです。右肘の怪我の影響で左打席を半ば放棄、右打席に専念するも今度は左肩の手術。痕を見せてもらいましたが、さほど大きくなく安心したのは最近の話。

先日の由宇練習場でも特大のスリーランホームランを放ち、模索と低迷を繰り返した時期をようやく脱しようとしてるようにも思います。相変わらず練習中その他は黙して語らず、のようですが、某お好み焼き屋さんで話をさせてもらった時は、けっして表情は暗くなかったです。

4回表
松原     2‐1から4球目を打ってファーストゴロエラー
井口     フルカウントから9球目を見逃し三振、しかし松原セカンド盗塁成功
戎      1‐2から7球目を空振り三振
田中     初球を打ってレフト前タイムリーヒット
広島東洋1‐2三菱広島
馬澤     初球をファースト前バントヒット、ファーストランナー田中はサードへ
渕上     0‐2から3球目を空振り三振

第一試合開始前の円陣で「何を仕掛けてくるか分からんぞ」と言う、朝山コーチから指示がありましたが、まさにそれが現実になったこのイニング。

ツーアウトから(にもかかわらず、ではなく)馬澤選手が仕掛けてくるセーフティーバント、そしてファーストベースにヘッドスライディング。わき目も振らずセカンドからサードを目指すファーストランナーの田中友博選手。ものの見事に引っ掻き回されるカープ内野陣。

本来はこう言うプレイを、常日頃からカープが一軍、二軍関係なしにやってないといかん。ツーアウトだからただただ強行、バットをブンブン振り回すだけではダメ。対MSH医療専門学校戦でもありましたが、相手が「まさか」と思うようなプレイをカープがどんどん仕掛けないかん。相手は「いっちょプロチームを喰ちゃろか」と考えてくる。けっして泰然自若とはいかんのだ。

渕上選手が空振り三振で攻撃を終了しましたが、この回逆転されてたら、流れは重工広島に行ってたかも知れません。色んな意味でこの試合中、一番スリリングなイニングでした。これが、町田公二郎ヘッドコーチ就任の成果、だとすれば、今後ますます侮れぬチームになりそうな気もします。

4回裏
會澤     初球を打ってライトフライ
土生     1‐0から2球目を打ってサードゴロ
鈴木将    1‐0から2球目を打ってレフトへツーベースヒット
庄司     1‐2から4球目を打ってショートゴロ

5回表
カープ選手交代
ピッチャー小野→マルティン・ガルシア(カープアカデミー)

松永     0‐1から2球目を打ってライト前ポテンヒット
実政     1‐0から2球目をピッチャー前送りバント
國本     0‐2から4球目を打ってショートゴロ
松原     2‐2から5球目を打ってファーストゴロ

四国アイランドリーグにお遍路に出てた(個人的に)「未知なる強豪」ガルシア。先頭の松永選手への初球が何と152km/h。2球目も151km/hと「規格外」のピッチング。課題はコントロール、と言う話は聞いてましたが、時折投げるチェンジアップ?も低めにコントロールされており「今後が楽しみです」どころの話ではないピッチャー。

5回裏
上村     フルカウントから6球目を打ってレフト前ヒット
鈴木誠    1‐0から2球目を打ってショート内野安打
上本     1‐1から3球目をピッチャー前送りバント
中村憲    1‐1から3球目を打ってセカンドゴロ、サードランナー生還
広島東洋2‐2三菱広島
栗原 2‐2から5球目を打ってフジの看板直撃ツーランホームラン
広島東洋4‐2三菱広島
會澤     1‐0から2球目を打ってショートフライ

栗原健太がそれこそ「貫禄」の、レフト上段フェンス直撃のツーランホームラン。

試合終了後、スタンドからは栗原健太に向かって「こんな所でホームラン打ってる場合ちゃうぞ」と言う声も飛んでましたが、一軍二軍ともども、シーズンも終盤戦に入り、場合もへったくれもない。今、栗原健太くらいの選手がここにいるって事実は、本人が一番痛感しとる。

だいたいからして今さらそんな事を本人に向かって叫んでも、欲求不満の捌け口にすらならん。悔しい気持ち、つまらん気持ちは分からんでもないし、「あそこで栗原がおれば」と言うのもあろうけど。

一番悔しい思いをしてるのは栗原健太だ。

本人も、大声で言い返したい気持ちも少なからずあろうし、結果がなかなか出ないもどかしさ煩わしさもあろうけど、それらを全部受け入れた上で、こうやって黙ってこの大会に出てるんだ。本人が一番理解してる筈。そしてこれが栗原健太の「現実」なんですよ。

で、ホームランの話ですが(笑)

ようやく「打球がレフト方向に上がるようになった」のかな、と。これまではなんとなしに、帳尻合わせっぽいヒット狙い、みたいなバッティングが多かったですからね。ただ、キラ・カアイフエやらブラッド・エルドレッドと比較すると、やはり僅かに劣ってしまう。

ぶっちゃけ今シーズンはもういいです。多分野村謙二郎監督の頭の中にもないし。これまで騙し騙しやって来た事の報いと捉え、今シーズンはなかった事にして、来シーズンのチーム構成がどうなるのかは分かりませんが、来シーズン「エネルギー充填150パーセント」でスタートを切ってくれれば。

6回表
井口     1‐0から2球目を打ってセカンドゴロ
戎      2‐1から4球目を打ってサードゴロ
田中     2‐2から5球目を空振り三振

6回裏
三菱重工広島選手交代
ピッチャー野上→鮫島優樹(MSH医療専門学校)
ファースト戎→山本祐大(駒澤大学)
レフト井口→大城裕児(大阪桐蔭高校)

土生     2‐0から3球目を打ってセカンドゴロ
鈴木将    0‐2から3球目を空振り三振
庄司     1‐2から4球目を打ってセカンド内野安打
上村     初球を打ってセンター前ヒット、ファーストランナー庄司はサードへ
鈴木誠    初球を打ってピッチャーゴロ

上村和裕怒濤の3安打猛打賞。年齢的にはベテランに近いものになりつつありますが、彼にもまだまだチャンスはあるはすだし、ないとおかしい。むしろ彼の起用方がこれまでおかし過ぎたんだ。

球団はこの大会をどう捉えているかよく分かりませんが、出場してる選手はみな必死です。ただのプロ・アマ交流の場じゃない。「試(し)合(い)」と銘打ってる以上、選手には「戦い」です。

7回表
馬澤     2‐2から6球目を打ってサードゴロ
渕上     初球を打ってセカンドゴロ
松永     1‐0から2球目を打ってショートゴロ

マルティン ガルシアはこの回で降板。とは言えども150km/h前後のストレートに、135km/hくらいの変化球を混ぜられては、そうそう的も絞りきれない、とは思います。外国人選手にありがちな「何か変わったフォーム」でもなく、無駄にチカラの入ってない、それでいて力感のあるピッチング。ディオーニ・ソリアーノ を越える選手になるか?ルイス・チェコを超えられるか。

7回裏
三菱重工広島選手交代
サード渕上→福田真也(東亜大学)

上本     初球を打ってサードゴロ
中村憲    1‐2から4球目を打ってセカンドフライ
栗原     2‐2から5球目を打ってレフトフライ

8回表
カープ選手交代
ピッチャーガルシア→菊地原毅(相武台高校)
レフト中村憲→下水流昴(青山学院大学)

実政     フルカウントから6球目を空振り三振
國本     0‐1から球目を打ってレフトフライ
松原     1‐2から4球目を打ってセンターフライ

この回だけ、ではありますが、菊地原毅が登板。

いくら勝負がかかってるとは言え、この起用には少なからず違和感を感じました。それだけ、試合に出せるリリーフ投手が少ない事の表れ、とも言えますが、この5日間で、帯同しながらも登板機会を貰えなんだピッチャー、また出場機会を得られなかった野手はさらに精進しないと。

8回裏
會澤の代打高橋大樹(龍谷大平安高校) 初球を打ってセカンドフライ
土生     1‐2から4球目を打ってライト前ヒット
鈴木将    2‐1から4球目を打ってレフト前ヒット
庄司     1‐2から4球目を打ってファーストゴロ

9回表
大城     フルカウントから6球目を選んでフォアボール
山本     1‐0から2球目を打ってピッチャーゴロダブルプレイ
田中の代打横松裕樹(松山商業高校) 0‐1から球目を打ってセンター前ヒット
馬澤     2‐2から8球目を打ってセンターフライ

広島東洋カープ、2年連続7度目の優勝!

三菱広島 010 100 000 2
広島東洋 001 300 00X 4


投手成績
(左から順に、登板イニング数、対戦打者数、投球数、被安打、与四死球、奪三振、失点、自責点)
三菱重工広島
野上   5   22  73  7  1  0  3  3
鮫島   3   13  42  4  0  0  0  0

広島東洋カープ
武内   2    8  25  2  0  1  1  1
小野   2   10  34  3  0  3  1  0
ガルシア 3   10  33  1  0  1  0  0
菊地原  1    4  12  0  0  1  0  0
上野   1    4  18  1  1  0  0  0



とにもかくにもおめでとうございます。

そして早朝からのダブルヘッダーお疲れさまでした。予選リーグ含めて5日間で4試合。ややカープに有利な日程だったとも思いますが、やはり決勝トーナメントの第一試合はきついでしょう。きつい日程だとは思いますが、勝ち抜く喜びを知る事が出来る貴重な大会かと思います。

ただ、毎年毎年この大会に出てるようではダメです。お盆も過ぎて「残暑」とは言えまだまだ暑いですからね。朝に不慣れな?カープ選手に配慮してか、試合は全て午後からに組まれてましたが、一軍のナイトゲームに比べればやっぱり暑いもんは暑い。

暑さを少しでも回避したいのであれば、練習して練習して、成績を残して一軍に推薦してもらう事が一番だと思います。あとはあの一軍監督の腹の中次第(これが一番難儀)ですけどね。

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試合終了後の挨拶。

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三菱重工広島の選手の皆さん。ナイスゲームをありがとうございました。正直「今年はカープは負ける」とすら思いました。三塁側に座ってて、ベンチの空気もごく僅かながら感じる事が出来ました。

この後、全日本選手権予選などあるかと思いますが、ぜひ頑張って下さい。健闘を祈ります。

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表彰式。カープから代表四人。

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優勝旗は土生翔平の手に。

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敢闘賞:國本剛志(三菱重工広島) 首位打者賞:田中友博(三菱重工広島 打率.545)。國本選手は、昨年の首位打者賞に続く表彰。イニング開始前のボール回しの、セカンドへの送球のコントロールが素晴らしかったです。ある程度切り離して考えんといかんとは思いますが、プロで見たいな。

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最優秀選手はマルティン ガルシア。左は付き添いに出てきたクレートブルペン捕手。

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来年は、違う組み合わせで(笑)。カープが出ない決勝戦てのも見たいです。


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2013.08.22 / Top↑
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