身内の戦いが強くする 日本経済新聞

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のブラジル戦や中国戦をみて、不安になったファンも多いだろう。日本が勝手にコチコチになった感じだったが、かといって両国の野球を侮ってはならないと思った。ボールなどの用具やストライクゾーンで独自の進化を遂げた日本と違い、彼らは最初から“国際標準”のなかでプレーしている。野球で一旗揚げようという者は最初からメジャーを目指している。だからうかうかできない。

最初の2戦のなかで、中国戦で先制打を含む2安打を放った中田翔(日本ハム)が目を引いた。「(前日の)試合に出られなかったのは実力の問題。悔しかった」とのコメントをみて、それだよ、その意地だよと思った。「自分はまだまだアピールしなくてはいけない立場」という新人のような気持ちがあの先制打を生んだ。

WBCは案外モチベーションを保ちにくい大会だろう。「3連覇」といったって、雲の上にあるようなものだ。選手個人の発奮材料としてはご立派すぎる目標より、チームの身内へのライバル心など手近な目標の方がいい。

強いチームは相手と戦う前にまず身内との戦いがある。西鉄に入団したとき、控えの選手がレギュラーの打席をみながら「ケガをしろ」と呪文のように唱えているのをみた。私はすぐレギュラーになったが、ポジションを追われた先輩の胸中も同じだろうと思い、身震いしたものだった。

国際大会でみんなが日の丸をつけて戦うのに「他人を蹴落としてでも」という了見の選手がいたら困る、との意見もあるだろう。しかし個人個人の具体的な闘争心がなければ、チーム全体も燃え上がってこないものだ。イチローだって駆け出しのころは「フォームが変わっているというだけで使ってくれない監督を見返す」という気持ちだったはず。こういうナマの感情が一番強い。

「自分が打てなくても、チームが勝ったからいいです」と、今の選手は言うが本音であるはずがない。そのウソに気づいた者が出世していく。



いつものようにデレデレッと読んで「うーむ」と思ったところで、最後の一言。簡単には終わらない豊田泰光氏「らしい」あれだとは思います。それだけ昔がギラギラしてた、って事だとは思いますが。

スターティングメンバーに名を連ねた選手、スターティングメンバーにいなくても、ベンチに控えている選手、みんあそれぞれ役割があるはず。その「仕事」の場面が回ってきたら、出来る限りの「仕事」をして目立とうと思う。むしろ目立とうと思わない選手はおらんはず。

その「仕事」を期待通りにこなして結果を出すことが「その先」につながるのであって、それを「怪我をしろ」と言いながら、は極端かとは思いますが、選手は皆どこかに「コイツよりもいい仕事をしてやる」みたいなのは、少なからず持っているはずだし、持っていないと意識付けにはならない。

10日の対オランダ代表戦でコールドゲームで圧勝した日本代表。ヒーローインタビューで前田健太が「監督の言葉を受けて、決勝ラウンドも僕に任せてください!」と絶叫した。

色々言われる事はあろうとは思うけど、これだけぶち上げるって事は、前田健太自身が今のピッチングに対して、絶対の自信をもってマウンドに上がってることへの表れでもあり、また日本代表として集まった各チームのエースクラスに対して「絶対に負けない」と言う自負の表れ、だと思うんですよ。

ホームラン6本にしてもそう。メンバーを見ると、まぁホームランを打ってもおかしくないメンバーではあるけども、みな「俺も俺も」と思ってたに違いない。


なんか最近は、まず最初に「チームワークありき」みたいな風潮がある。どこでどうなったのかは分からないけど、プロスポーツであってもどこかアマチュアっぽい空気を流す傾向がある。むしろ、それを「売り」にしてることもある。いいんだか悪いんだか分かりませんが。

その競技が純粋にアマチュアスポーツであればいいけども、最近は「契約社員」やら「学校職員」と言う曖昧な表現で、その道のプロフェッショナルをアマチュアスポーツに取り入れてる。

けど、「チームワーク」だけでは点は入らないし、試合には勝てない。どこかで一般の目には留まらない所で、それぞれが「これ」と言う目標を定めてもう練習をしてる。それをすり合わせ馴染ませていく「指導者」がいてようやくチームワークが築き上げ、完成されていく。

「ベンチでお前の隣に座っているやつは敵だ」と言うたのは、二軍監督の頃の木下富雄さん、と言う話は以前引き合いに出しましたが、これはどのチームでも言える。もちろん日本代表チームであっても言えること。ぶっちゃけ、ペナントレースが始まったら敵。昨日の友は今日の敵、ですよ。

「俺が俺が」で目立った以上、そして発言した以上、次はそこに「言うただけの責任」が付きまとう。それが次のステップへのそれこそモチベーションになる。それを糧に出来るか、ただ単にプレッシャーになってしまって、それっきりで終わってしまうか、が勝負の分かれ目。

このことを考えたら、前田健太は本当にカープにおることが不思議なくらいの選手なんだし、周りにいる選手は年齢・キャリア・立場関係なく、彼からもっと吸収していい。俺は俺だから好きにやる、もいいけども、彼の意識の高さは多分、常人では計り知れないところにあるのかもしれない。

タイトルをひとつ獲ったら、周囲は「タイトルホルダー」と言う目で見る。ただ○○年前の△△、と言うのは、何年後(前)までが許容範囲なのかは分かりませんが、それだけ付いてまわるもんなんだし、一回で終わってしまったら「それまで」の選手なんだし。

「継続は力なり」とは言いますが、昔の人はホント、うまいこと言うなぁ、と思いますよ。

チーム内でやたら「競争」と言う言葉を多用するチームがあります。事あるごとに奮起を促す監督がいます。けど、どれもこれもここ数年身になってないし、残念ですが結果か出てない。

何か持ち帰ったものを選手が上手く伝えられないのか、そう言う「外部の空気」を受け入れる環境が整ってないのか、は分かりません。おそらく後者だとは思いますが、日本代表のベンチのピリピリムードを、どうにかしてカープベンチに持っていきたいんですけどね。

もっとも、代表に選ばれた選手がピッチャーだけってのも、難点なんでしょうけど。


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2013.03.12 / Top↑
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